「メラビアンの法則」によると第一印象は3~5秒で決まるといわれています。
人が他人に初めて会って数秒で相手への印象を判断する現象は、「初頭効果」(primacy effect)や「薄いスライス」(thin-slicing)と呼ばれる心理学の概念によって説明されています。
これらの理論は、『短時間の観察や限られた情報をもとにして、人間が迅速に他者を評価する』ことを示唆しています。詳細に説明すると、次のような要素が関与しています。
1. 初頭効果(Primacy Effect)
初頭効果とは、最初に得た情報がその後の認識や評価に強い影響を与える現象です。
これは、人が他人に対して初めて会った瞬間に形成する印象が、後の印象形成に長く影響を及ぼすことを説明します。
例えば、最初に「信頼できる」と感じた相手に対しては、その後の行動も好意的に解釈されやすくなります。
根拠:
- 認知バイアス:人間の認知は、限られたリソースで効率よく情報を処理するために、最初に得た情報に大きなウェイトを置きがちです。最初の印象をもとに、相手の特徴を速やかに「枠組み」に当てはめることで、脳はエネルギーを節約します。
- 研究結果:1960年代に行われたソロモン・アッシュの研究では、最初にポジティブな形容詞を使って紹介された人は、後で出てくる情報にかかわらずポジティブな印象が形成されることが示されました。

2. 薄いスライス(Thin-Slicing)
薄いスライスとは、人間が短い時間や限られた情報に基づいて、他者の性格や能力、意図などを素早くかつ概ね正確に判断する能力を指します。この現象は、特定の仕草、表情、服装、声のトーンなどの「薄いスライス」に含まれる小さな情報の断片から全体の判断を行うプロセスを指します。
根拠:
- 迅速な情報処理:進化的には、人間は外部環境からの情報に即座に反応し、生存にかかわる意思決定を素早く行う必要がありました。このため、他者に対する瞬時の評価が重要でした。特に、敵か味方か、信頼できるかどうかといった判断は即時に下す必要があります。
- 研究結果:心理学者アンブレ・トッドやナリーニ・アンバディによる「薄いスライス」の研究では、数秒間のビデオクリップを見ただけで、被験者が相手の性格や能力を非常に正確に評価できることが示されています。例えば、教師の授業を数秒見ただけで、学生が教師を評価する際に下す結論と一致することがありました。
3. 非言語コミュニケーションの重要性
他人との最初の出会いで形成される印象には、言葉以外の要素、つまり非言語コミュニケーションが大きな影響を与えます。
ジェスチャー、姿勢、目の動き、表情、服装、声のトーンなどが短時間で非常に強力なメッセージを伝えます。これらの非言語的な手がかりをもとに、人は他者の態度や性格を推測し、素早く印象を形成します。
根拠:
- 表情と感情の伝達:心理学者ポール・エクマンの研究によれば、人間は顔の微細な表情の変化を通じて、他者の感情状態を瞬時に読み取ることができるとされています。これによって、相手がどのような人か、信頼できるかなどを短時間で判断できます。
- 服装や身だしなみの影響:服装や外見は、社会的地位や職業、性格に関する手がかりを他者に提供します。例えば、フォーマルな服装は信頼性や専門性を示唆することが多く、カジュアルな服装は親しみやすさを感じさせることが多いです。
4. 感情と自己防衛メカニズム
人間は、感情や直感に基づいて、相手に対して迅速な印象を形成します。これは、自己防衛メカニズムの一部でもあります。
相手が危険であるかどうか、あるいは信頼できるかどうかを素早く判断し、自分を守るための行動を取る必要があります。このため、無意識のうちに、他者の外見や行動の断片から全体の性格を推測し、その人がどのような人物であるかを短時間で判断します。
[まとめ]
初めて他人に会って数秒で印象を判断するという現象は、認知心理学や進化心理学の視点から理解されます。初頭効果による最初の情報の重要性や、薄いスライスによる短時間での判断能力、非言語コミュニケーションが人間の印象形成に大きな役割を果たしています。また、感情や直感、自己防衛のためのメカニズムも、このプロセスに深く関与しています。
◾️参考サイト:
アルバート・メラビアン Wikipedia




